40代になってくると気になりはじめる『更年期』『閉経』
更年期をむかえると、ホットフラッシュと呼ばれるほてりなどといった更年期障害の症状があらわれるようになってきます。そして、膣周りにも様々な影響がでるようになるのですが、この膣周りにあらわれる症状を、2014年に国際女性性機能学会と米国更年期学会においてGSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)と呼ぶようになりました。日本語としては統一された言葉がまだなく、閉経関連泌尿路性器症候群や閉経尿路生殖器症候群などと呼ばれていたりします。今回はご存じの方もまだ少ないと思われるGSMについての症状やケアについて紹介します。
目次
1.GSMの主な症状
GSMの症状は【①膣や外陰部などの膣まわり】【②排尿トラブルなどの泌尿器まわり】【③性交痛などのセックス時のトラブル】の大きく分けて3つに分類することができます。加齢とともに女性ホルモンが少なくなってしまうことでいわゆるデリケートゾーンに影響がでてくるようになります。また、閉経後のおよそ半数の女性に何らかのGSMの症状があるといわれています。
陰部のかゆみや乾燥感、ひりひり感、おりものの変化など
デリケートゾーンの不快感はもちろん、外陰部の萎縮やかゆみ、おりものにも変化があらわれます。女性ホルモンの減少により、陰部のふっくら感や潤いががなくなってしまい、雑菌が侵入しやすくなります。デリケートゾーンは、閉経前の潤いが保たれていると常在菌により自浄作用が働くため雑菌が侵入しにくい仕組みとなっています。雑菌が侵入すると膣内で繁殖し、炎症やかゆみ、ニオイなどの膣トラブルにつながります。
尿漏れや頻尿、夜間頻尿など
女性ホルモンの減少により、尿道の筋肉の張りが失われ尿路の粘膜が萎縮することにより、以前よりも尿意を感じやすくなります。また、くしゃみなどの日常のささいな動作で尿漏れをおこしたり、膀胱炎になることも。
性交痛、出血など
膣関連の粘膜の潤いが低下し、膣口も狭くなります。そのため、痛みも伴いやすくなります。
どういった女性に起こるか
GSMは更年期の女性の２人に１人有するといわれています。女性ホルモンの減少は、30代のピーク時に比べると10分の1ほどにもなり、日本人女性の多くは、GSMの症状は閉経後3-4年後(日本人女性の閉経は平均50歳頃)、症状が深刻になってから気づく場合があります。日本では閉経後のセックスレスが多いこともあり、欧米に比べると性交痛などの症状に気づきにくく、初期の症状に気づかないままGSMが進行し重症化することもあります。
GSMの症状は予防やケアをせず放っておくと改善することはなく重症化していくので、できるだけ悩みを放置せず相談したりセルフケアなどを行うようにしましょう。
セルフケアによる予防
GSMの症状が軽い人や予防として、デリケートゾーンの保湿と骨盤底筋のトレーニングがおすすめです。
デリケートゾーンは加齢とともに乾燥しやすくなるので専用のクリームや美容液で入浴後の保湿を心がけましょう。また身体を洗う際にも、低刺激の専用ボディソープを使うことでデリケートゾーンへの負担を減らしてくれたりニオイケアもできるので気になる人は、ボディソープの見直しもおすすめ。セックス時に痛みを感じる場合は潤滑ゼリーを使用すれば、潤い不足が原因といった痛みや不快感を軽減できます。
また、締め付けの強い衣類やサイズが合わない下着はデリケートゾーンに負担をかけてしまい、乾燥や摩擦などのトラブルを引き起こします。外陰部にふれる素材は通気性のいいものや肌にやさしい綿やシルクを選ぶと負担を軽減できます。
骨盤底筋とは膀胱や子宮などの骨盤内臓器をささえる筋肉で、鍛えることで頻尿や尿漏れなどを予防・対策に効果的といわれています。トレーニングすることで血流もよくなるので膣周りの症状も軽減します。普段は意識することのない筋肉ですが、肛門と膣を意識しながら締める・緩めるの動作を繰り返してみましょう。
まとめ
閉経後におこるGSMは日ごろのセルフケアで予防や早期の発見が可能です。肌のお手入れと同様に、毎日のケアと予防が大事です。閉経を迎えてからではなく、月経があるうちから保湿をこころがけみてはいかがでしょうか。また、閉経を迎え、GSMの症状が日常生活に影響がでている場合は、一人で悩まず婦人科や泌尿器科の受診をするようにしましょう。
